宇宙シロクマ

Tuscan Blue's blog

下弦の天魔王について (──あるいは、なにゆえ私はこんなにも天が好きか)

 

 

「下弦の天魔王のことをどんなふうに思っていますか?」

 

というリクエストをいただいたのは、一か月以上前のことです。

(どうもありがとうございますʕ^ᴥ^ʔฅ )

 

……深い質問だと思います。

 

好きなひとについて考えるということは、自分自身について考えることでもあるからです。

 

  

しばらく考えてみて、頭の中では答えがでたのですが、なかなか書きはじめることができませんでした。

 

公演中は、あんなに毎日まいにち、天のことばかり書いていたというのに、なぜ急に書けなくなってしまったのでしょう……?

 

きっと、もう会えなくなってしまったからですね……

ʕ ˃̣̣̥ᴥ˂̣̣̥ ʔ

 

天が、目の前で生きていてくれさえすれば、永遠に書きつづけていられたと思います。

 

宇宙シロクマにとって天は水や空気のようなものなので、ないと動けないのです。

  

それに、今となっては、天の何もかもが好きなので、あえて好きな理由をあげるのがむずかしくなってしまったのかもしれません。

 

もう、亡くなってしまったひとなので……

 

この世にもどってきてくれさえすればいいです。

 

欠点すら愛おしい。

 

彼が何をやったとしても、ぜんぶ受け入れてしまうことでしょう。

 

 

そんな今、公演中の自分のツイートやブログを読み返してみると、温度差にびっくりしてしまいます。

 

なんというか……テンションが低く見えるのです💦

 

こんなに好きなのに、その気持ちがぜんぜんだせていない。

 

書いた本人がこう思うくらいですから、読んだ方にはさっぱり伝わらなかったのではないでしょうか。

 

内容も、のんきすぎて……

 

いずれすべてがなくなってしまうということに気づいてないみたい。

 

かつてツンデレが流行ったとき、周囲から散々、シロクマはツンデレだツンデレだといわれたものですが、ほぼツンしかないような……?

ʕ•ᴥ•ʔ💦

 

あれを書いた人間(=私)の襟首をつかんで前後にブンブンゆすりながら、「そんな冷静そうな顔をして余裕のあること言ってるけどねっ! すぐに何もかもなくなっちゃうんだからねっ!? 下弦も天もぜんぶ消えてなくなっちゃうんだから……っ!」と泣きたい。

 

もっとたくさん、ほめればよかった。

 

好きなところだけ、いっぱい書けばよかった。

 

形容詞を惜しみなく使えばよかった。

 

もっとわかりやすくストレートに「大好き!」って書けばよかった。

 

何回も何回も何回も……

 

そんな後悔でいっぱいになりました。

 

ʕ ˃̣̣̥ᴥ˂̣̣̥ ʔ ……

 

それでもなんとか、「なぜわたしは下弦天がこんなにも好きなのか?」ということを深く深く考察した結果、下記の3点にまとめました。

 

ご査収ください。

 

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(1)誰も愛していないから

 

 

天魔王は誰にも愛されたことがなく、誰も愛したことがない。

 

本当の愛を知らないのだと思います。

 

もしかすると天魔王は、「殿のことを愛している」と言うかもしれません。

 

しかし、彼が愛してやまない殿は、信長という生身の人間そのものではなく、彼が思い描いた「理想の殿」なのです。

 

だから理想に反した言動をする信長に、失望してしまった。

 

そこで失望の原因である信長を殺し、みずからが殿になりかわって「理想の殿」を実現しようとしたのでしょう。

 

「間違っていることは消去して、新しく描きなおせばいい」

 

そうすることで、彼は救われるのです。

 

 

天魔王にも、彼なりの愛はあると思います。

 

でも、その愛はすべて彼自身にむかっているように見えます。

 

本当に相手のことを愛しているなら、たとえ理想とはちがっていたとしても、許して受け入れるのではないでしょうか。

 

天魔王にとって大切なのは、あくまで、みずからの理想です。 

 

理想しか愛せないということは、自分しか愛していないということです。

 

つまり天魔王の愛とは、自己愛なのではないでしょうか。

 

それゆえ、二幕のクライマックスで蘭丸が彼をかばって撃たれたとき、驚愕したのではないかと思います。

 

みずからを犠牲にして誰かを助ける、ということが理解できないのでしょう。

 

ことに、自分が裏切って殺そうとした蘭丸に助けられるなど、信じられなかったのだと思います。

 

 

また、天魔王は人心掌握術にすぐれていて、誰とでもうまくやることができます。

 

つねに相手にあわせて、相手が望むような対応をしてあげて、心をつかんでしまうのです。

 

それゆえ大勢の人間が彼に心酔し、関東髑髏党に二万もの軍勢があつまったのでしょう。

 

でも、すべては表面的な関係にすぎなくて、天魔王は一定以上の距離には誰も近づかせません。

 

現代でいうと、パーソナルスペースがとても広い。

 

もし誰かが、死の間際の生駒のように手をのばして近づこうとしたら、身をそらして拒絶することでしょう。

 

けっして彼の世界に深入りさせることはないのです。

 

浅い関係で誰とでもうまくやれるということは、誰のことも特別ではないということです。

 

天魔王にとっては、自分がいちばん大切なのだと思います。

 

それゆえ大勢の部下にかこまれていても、誰のことも信じておらず、いつも孤独なのでしょう。

 

 

……こんなふうに書いていると、下弦天の欠点をあげているように誤解されるかもしれませんが、その逆です。

 

わたしは彼のこういうところが、とても好きなのです。

 

いちばん好きな理由が、これだと気づいたとき、霧が晴れたような気持ちになりました。

 

自己愛が強いあまり孤独で……その孤独を愛している天魔王。

 

そんな彼を愛さずにはいられません。

 

 

 

(2)All or Nothing

……すべてか、さもなくば無を

 

 

「すべてを手にすることができないなら、何もいらない」

 

これが天魔王の美学なのだと思います。

 

妥協するとか、足るを知るとか、少しでも手にはいれば満足するとか、そういう生き方をいさぎよしとしない。

 

妥協する自分を、許すことができない。

 

それゆえ、最後に、自死を選んだのだと思います。

 

(後述しますが、過去の天魔王は全員、捨之介に殺されました)

 

(しかし、『Season月』の天魔王は初めて、みずから自死を「選んだ」のです)

 

 

たとえばオープニングで、「人の男」は安土城に火をはなちました。

 

「価値も知らぬ者に蹂躙されるくらいなら、落ちてしまうがよかろう」

 

と言って。

 

最後には、8年かけて築いた髑髏城までも、惜しむことなく落城させてしまいます。

 

このことからも、彼の「All or nothing」な姿勢がうかがえます。

 

全か無か……

 

下弦天のそういうところが、とても好きです。

 

 

 

(3)人間らしい天魔王

 

 

「髑髏城で待っている!」

と高らかに宣言しておきながら、ついつい待てなくて、荒野まで捨之介と蘭兵衛を見にいってしまう……

 

そんな人間らしいところも、天魔王の魅力です。 

 

千穐楽レポにも書きましたが、特に下弦天は、人間らしい性格をむきだしにした興味深い演技がとても多かったのです。  

 

ここで強調しておきたいのは、「Season月」は勧善懲悪の物語ではないということです。

 

「髑髏城の七人」史上初めて、天魔王が捨之介に一矢むくいる話です。

 

天魔王は捨之介の魂の一部を連れて、みずから死んでしまったのですから。

 

そんな「Season月」の天魔王は、悪役ポジションではありますが、完全な悪魔ではありません。

 

彼には彼の正義があり、信念があり、美学があります。

 

それにそって生き抜いた結果、最後は死を選ぶことになったのでしょう。

 

ことに下弦の天魔王は、人間がもつさまざまな面を見せてくれる、いかにも人間らしい天魔王でした。

 

こんなに人間らしい天魔王もまた、髑髏城史上初めてです。

 

 

いつもブログを読んでくださっている方はご存じかと思いますが、わたしは公演中ずっと、鈴木拡樹さんの天魔王がいかにオリジナルであるかということを説明するのに心を砕いてきました。

 

この「人間らしい」ところも、鈴木天のオリジナリティだと思います。

 

 

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さて、いかがでしたでしょうか。

 

ものすごく時間がかかってしまいましたが、なんとか書き上げることができました。

ʕ•ᴥ•ʔ💦

 

 

好きな対象について深く考えるということは、自分自身について深く考えることでもあります。

 

深淵をのぞきこんでいるうちに、深淵にのぞかれてしまったような気分です……

 

 

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いつもブログを読んでくださっている心やさしい方のおかげで、6月4日、「舞台 刀剣乱舞」にいけることになりました。

 

どうもありがとうございますʕ ˃̣̣̥ᴥ˂̣̣̥ ʔ 💕

とってもうれしいです。

 

初めてなので、どきどきしています。

 

シロクマから愛をこめてʕ ❛ᴥ❛ʔฅ~~💓💓💓 

 

『私の頭の中の消しゴム』の感想に、コメントと星をくださったみなさん、どうもありがとうございます。

お返事しましたʕ^ᴥ^ʔฅ