宇宙シロクマ

Tuscan Blue's blog

髑髏城の七人 Season月 下弦の月 感想 2月19日(月)マチネ ソワレ 前楽

 

下弦の前楽が終わりました……

 

今は19日の深夜ですが、眠れないので、レポを書いてしまおうと思って、これを打っています。

 

千穐楽をむかえてしまったら、つらくて、前楽をふり返る気にはとてもなれないような気がするのです。

 

 

ロングラン公演の場合、千穐楽はお祭りや打ち上げ花火のようなもので、芝居としては前楽こそが集大成であることが多いのではないかと思います。

 

キャストの熱量も最大値。

 

それだけに絶対に見逃せないと思っていたのですが、マチネも見て本当によかったです。

 

マチネとソワレ、それぞれちがっていて、すばらしかった。

 

また、それぞれが半分の月のようで、両方見て初めて満月になるようなところもありました。

 

満ちた月を見上げることができて幸せです。

 

 

あと1公演で終わるなんて、とても信じられない……

 

「永遠に続いてほしい」というのとはまた違っていて。

 

本当にこのまま永遠に続いていくのではないかと思ってしまうほど、情熱と勢いがあって、今を生きている舞台でした。

 

 

わたしは演劇の公演はわりと冷静に見てしまうほうで、大人になってからは物語で泣いたことはありません。

 

これはたぶん学生のときに、たとえばクラスでRSCを見にいって、「あの演技はどういう意味か」とか「あれは何の象徴か」とかいうことを延々とやっていたからかもしれません。

 

習慣的に、舞台を俯瞰して見てしまうのです。

 

そして、お芝居について思いをめぐらせるのが好きなのです。

 

そういうわけで、髑髏城にいるあいだは一度も泣くことはなく、友達といるときも平気だったのですが…… 

 

家に帰ってひとりになったら、ぽろぽろ涙がでてきました。

 

キャストのツイートやブログを読んで、また涙……

 

止まらなくなってしまいました。

 

特に、わたしはツイッター世界の住人なので、鈴木拡樹天のツイートが終わってしまうのが悲しいです。

 

毎回、たのしみにしていたので……ʕ ˃̣̣̥ᴥ˂̣̣̥ ʔ

 

ブログを始めてくれるといいのに。

 

ツイートだけでもあんなに個性あふれる作風なのだから、長く書いたらきっとすごくおもしろいと思います。

 

そして、できれば天魔王の演技について語ってほしいです。

(無理難題)

 

 

下弦があと一公演で終わりだと思うと、どうしたらいいのかわかりません。

 

世界の終りのようにも思えます。

 

 

できることなら、もういちど、11月に帰りたい。 

 

11月27日にもどって、もういちど下弦を初めて見たい。

 

前列のいちばん端の席で、また横顔しか見えなくてもいいから「天魔王誕生」を見て衝撃をうけたい。

 

渦巻くように熱い4時間を体感したい。

 

ステアラを出て、余韻にひたりながら豊洲まで歩きたい。

 

星空の下、どこまでも歩いていけるような気分になりたい。

 

感動した勢いで、またブログを最初からはじめたい。

 

真っ白だったところから……

 

 

そうしてもういちど、Season月の3カ月を体験したい。

 

上弦と下弦を交互に見たい。

 

なんども登城して、なんども驚かされたい。

 

見るたびに好きになっていって、大好きになりたい。

 

 

そんなことはもう、できないのだけれど……

 

 

 

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【ここから先はネタバレを含みます】 

 

 

マチネの天魔王

 

 

マチネは、道化要素のない、ノワールな天魔王でした。

 

そして、いつもより大人っぽくてかっこよかったのです。 

 

40代くらいに見えて、とても魅力的でした。

 

鈴木天は、演技がノワールだと外見も精悍になります。

 

内面が外見を生みだすのでしょう。

 

そこが鈴木拡樹さんの凄いところです。

 

 

正統派ヴィラン路線でしたので、「殺し合いがよく似合うぅぅぅ💓」などのコミカルなセリフ回しは一切なし。

 

「ここが髑髏城、ここが小田原城、猿が陣を敷くとすれば? (※)ここ、石垣山だな」

(※)に入る言葉も、「そう!」でした。

 

 

ちなみに、これまで見た最高齢の天魔王は、12月13日(水)マチネ1幕、捨天蘭再会の場です。

 

まるで50代くらいのベテラン俳優のように見えて、その老成と貫禄に驚きました。

 

しかも歌舞伎役者のようにかぶいたセリフ回しだったのです。

 

びっくりしすぎて、そうとう印象に残ったのか、あのときの天魔王は今でも目の前に鮮明に思い出すことができます。

 

わたしの中では、変キャラ天のトップです。

 

 

 

ソワレの天魔王

 

 

マチネが硬派でしたので、「ソワレはきっとコミカル要素ぜんぶ盛りでくると思う!」と友人に話していたのですが、予想的中しましたʕ^ᴥ^ʔฅ

 

「ここが髑髏城!ここが小田原城!猿が陣を敷くとすれば? (※)ここ、石垣山だな」

(※)は、楽しそうな「ァハァ~イ!」でした。

 

「殺し合いがよく似合うぅぅぅ💓」「さて、ど~かな~♪」などコミカルなセリフ回しがぜんぶ聞けました。

 

 

ソワレの天魔王は、マチネよりも若く見えました。

 

コミカル路線だと声もちがうので、若返るのでしょうか。

 

 

心に残るシーンは、1幕、捨天蘭再会の場。

 

「ついえたはずの夢があざやかに蘇っているのを」

 

……からの一連のセリフが、ものすごーくよかったのです。

 

 

捨之介「その夢は、どれだけの人の血で描くつもりだ!」

 

天魔王「……さて、どれほどかな」

 

   「流した血潮が多ければ多いほど、よりあざやかな色になるさ」

 

 

客席に向けた目つきには、天魔王としての自信があふれていました。

 

薄い笑みをたたえた表情もすばらしい。

 

声も芝居も最高でした。

 

新感線さん、ここの録画ください。

 

 

……本当に、マチソワしてよかったです。

 

最後に、いろんな天を見せてもらうことができました。

 

 

 

二幕、口説きの場

 

 

夢見酒のあとで、天魔王が霧丸をボコボコに殴ったり蹴ったりするシーンがあります。

 

あれはもう、本当に霧丸がかわいそうでかわいそうで、見ていられません。

 

天、そんなに殴っちゃだめ……ʕ ˃̣̣̥ᴥ˂̣̣̥ ʔ

 

霧丸痛い……ʕ ˃̣̣̥ᴥ˂̣̣̥ ʔ 

 

と、思ってつらくなるので、これまで一度も取りあげませんでした。

 

でも実は一か所、とても好きな瞬間があるのです。

 

舞台中央で、客席をむいた天魔王が霧丸を締めているとき、その背後の玉座に立った蘭丸が「待て、天魔王」と言います。

 

その「待て」で、天魔王は動きをピタッと止め、上目遣いで上空をにらみつけるように顔を上げるのです。

 

凄味のある形相で、急に目が離せなくなってしまいます。

 

 

舞台奥から順に、

 

玉座に立った蘭丸」

 

「中腰で霧丸を締めている天魔王」

 

「その下で、客席に背をむけ苦しそうな霧丸」

 

という立体的な絵になっています。

 

この既視感!

 

まるでシェイクスピア劇のような演出です。

 

 

12月20日のブログにも書きましたが、鈴木拡樹さんの演技は、シェイクスピア劇と親和性が高いと思います。

 

芝居の質がシェイクスピア俳優と共通するところがあるので、ぜひいつか演じてもらいたいです。

 

できれば翻訳劇ではなく、英語で。

 

いろんな声が出せる方は耳がいいので、すぐに英語で演じられるのではないかと思います。

 

 

 

扇シーン

 

 

この日も、マチネとソワレでちがっていました……!

 

天扇カレイドスコープ。

 

 

19日マチネ

 

蘭丸「秀吉よりも先につぶさなければならない男がいる……来い」

 

天魔「ああ……(フッフッフッ……)」

 

  「なるほど……フッ……」

 

  (客席を見て)

 

  「お(←スクリーンが急ぎ閉じる……

 

 

早い!早いよ!スクリーンさん!ʕ ˃̣̣̥ᴥ˂̣̣̥ ʔ

 

 

「フッ……」という笑い声が入るヴァージョンは初めて見たので、感動した瞬間、スクリーンに隠されてしまった天扇……

 

「おもしろい」の「お」で天が消えてしまったので、当然、扇も見えませんでした。

 

 

19日ソワレ

 

天魔(蘭丸の去った上手を向いたまま)

 

「ああ……なるほど……」

 

(一瞬、すっと真顔になって)

 

(真剣な表情で観客のほうを向きながら扇をひろげつつ)「おもしろい」

 

(←スクリーンが急ぎ閉じる……)

 

ほんの少しだけ、扇をひらくところが見られましたʕ๑′ᴥ‵๑ʔ

 

 

天扇マニアのみなさんのために、7日版と10日版も書いておきますねʕ^ᴥ^ʔฅ

 

 

2月7日マチネ

 

やや上目遣いでニヤリと笑みながら「おもしろい」と言う。

 

→扇を床と平行に、手前から前に押しだすようにまっすぐひらく

 

→パタパタパタと3回あおぐ

 

(←スクリーンが急ぎ閉じる……)

 

 

最後まで笑みを浮かべたまま。

 

開き方は日舞のお扇子の基本形でした(位置はやや下)

 

この天魔王、趣味はきっと蹴鞠と日舞

 

 

☆2月10日ソワレ☆(大好き!)

 

笑みを浮かべて少し顔をあげつつ「おもしろい」と言う

 

→ゆっくりと顔をさげていき、上目遣いでにらみつけながら扇を広げていく

(←スクリーンが走って閉じる……)

 

 

初めて見たノワールな天扇でした!

 

少し上をにらみつけながら扇をひらく様子が、恐ろしくも美しい。

 

背後に闇の炎が静かに立ちのぼっていくのが見えました。

 

 

いちばん好きなヴァージョンです。

 

 

 

生駒の日替わり(中谷さとみさん)

 

 

生駒さまの日替わりネタは、いつも作りこんだ笑いで好感度が高いです。

 

潔癖ネタが多かったのですが、この日は最長にして最高峰でした。

 

マチネもそうとう長かったのですが、ソワレはさらに長くて、まさに集大成であるといえましょう。

 

さすが生駒さま。

 

贋鉄斎が「長いわーーー!」と言って斬りこんでくるタイミングもジャストで、おもしろかったです。

 

また、「生駒、おこだからね!」という捨て台詞が「激おこ」に変わっていました。

 

ソワレでは、生駒たちが立ち去ったあとに、大きな拍手が起こりました。

 

前楽の生駒さまにむけた、潔癖の集大成にむけた、あたたかい拍手でした。

 

 

 

下弦ジャンプ選手権

 

 

わたしはバレエでもスポーツでもジャンプが大好きなので、高さと飛距離に注目してしまいます。

 

19日は、すごいジャンプがいろいろ登場しました。

 

 

第1位

マチネ、霧丸(松岡広大さん)

百人斬り

 

仕込まれた小さなトランポリンで霧丸が跳ぶところがあるのですが、この日はすごかった!

 

過去最高に高くジャンプ。

 

しかも、開脚して跳び、真横にのばした両腕につけるという高難度。

 

まるで選手のようでした。

 

霧丸の戦闘能力の高さがよく表現されていたと思います。

 

 

第2位

マチネ、蘭兵衛(廣瀬智紀さん)

黄泉の笛の殺陣

 

以前から蘭兵衛のジャンプには注目してきましたが、この日もびっくりするほど高く飛んでいました。

 

特に、下手で跳ぶジャンプ。

 

高さだけでなく飛距離もあったので、敵を追い越してしまったほど。

 

 

第3位

ソワレ、蘭兵衛、橋を渡る。

 

逃げる霧丸を、捨之介と蘭兵衛が追いかけて、橋を渡るシーンがあります。

 

くりかえしますと、橋を「渡る」シーンです。

 

なぜジャンプ選手権に出てくるのかというと、蘭兵衛はここで無駄に高いジャンプ能力を見せるからです。

 

霧丸と捨之介がごくふつうに走り去ったあと、蘭兵衛は橋の上で

 

ピョーーーン!

 

と飛ぶように走ったのです。

 

それが一瞬、空中で止まるほど滞空時間が長かったので、びっくりしました。

 

ツイッターでも「まるでゲームのキャラのよう」だとか「人外のように跳ぶ」とか言われて密かに人気をあつめています。

 

 

 

六天斬り(マチネ)

 

 

邪魔な位置に落ちてしまった仮面を、天魔王がサッカーボールのように蹴って動線をクリアにしたことは以前も書きました。

 

マチネでは、サッカーではなくバスケットボールでした。

 

捨之介によって鎧をすべてはがされてしまった天魔王は、階段下に落ちた鎧の一部を拾って、右腕で大きく壇上にむかって投げつけたのです。

 

天魔王のやぶれかぶれになった様子がよく表現されていると同時に、動線も自然にクリアにされたのでした。

 

 

 

君死にたまふことなかれ(羽野晶紀さん)

 

 

「ひとり一度のまことだから

 きみの生きたいように」

 

極楽太夫がそう歌うと、蘭兵衛が無界屋の襖を開けてあらわれます。

 

そして無言で無界屋を去り、二度と「蘭兵衛」としては帰ってこないのです。

 

この演出にはいつも考えさせられます。

 

極楽太夫は、実は蘭兵衛の本心を(彼自身ですらはっきりとは気づいていない本心を)知っていたのかな、と……

 

捨之介が蘭兵衛と「知らぬ顔の蘭兵衛を決めこめ」というやりとりをするとき、羽野太夫の芝居がいつも繊細なので、いろいろと想像してしまいます。

 

 

無界屋を去った蘭兵衛は、少し離れた上手に立ち、下手の無界屋を見つめます。

 

そして少しほほえんで目を閉じ、無界屋に一礼するのです。

 

もしかすると、この一礼をした時点で、すでに蘭の気持ちは決まっていたのかもしれません。

 

もうここにもどることは、二度とないのだと……

 

あるいは、蘭自身にはその自覚はなかったかもしれません。

 

でも、自分の本当の気持ちなんて、自分でもはっきりとは説明できないものですからね……

 

 

先月あたりには、一礼したあとで、無界屋をふたたび見つめていました。

 

でもこの日は、無界屋を見ることは二度とありませんでした。

 

一礼すると、殺気だった表情になり、客席に鋭い視線をむけてから、思いを断ち切るようにすぐ右をむいて立ち去ったのです。

 

 

カーテンコール

 

 

無界屋カーテンコールで印象に残ることといえば、鈴木天が宮野捨を見つめる真摯なまなざしです。

 

鈴木天はいつも、目を見開いて、やや後ろから、宮野捨のことをじーーっと見つめているのです。

 

毎回、必ずそうなのです。

 

出てくる順番は鈴木天が先で、次が宮野捨です。

 

鈴木天は、宮野捨を中央にむかえ入れるときから、全員でのおじぎが始まるまで、ずっと……ずっと彼を見つめています。

 

ほかを一切見ない。

 

熱く、ひたむきに、主役を見守っているのです。

 

その様子からは、「リスペクト」「主役を立てる」「影で支える」という姿勢がひしひしとつたわってきます。

 

もし何かあったら、鈴木天はいつでも、誰のことでもサポートできるのでしょう。

 

彼は有能なバランサーですから。

 

そして中央にいる宮野真守さんは、いつも太陽のように光り輝く主役なのです。

 

お日さまを向いて咲く花のように、観客もいっせいに宮野捨を見つめます。

 

 

本当に、良い座組だと思います。

 

 

 

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ここまで読んでくださって、どうもありがとうございますʕ๑′ᴥ‵๑ʔ

 

 

あしたはついに、大千穐楽です……