宇宙シロクマ

Tuscan Blue's blog

髑髏城の七人 Season月 下弦の月 感想 1月4日(木)振替公演

tuscanblue2015.hatenablog.com

劇団☆新感線 

作:中島かずき 演出:いのうえひでのり

捨之介     宮野真守

天魔王     鈴木拡樹 

無界屋蘭兵衛  廣瀬智紀

兵庫      木村了 

霧丸      松岡広大 

極楽太夫    羽野晶紀 

狸穴二郎衛門  千葉哲也

http://www.tbs.co.jp/stagearound/tsukidokuro/cast/kagen.html 

 

 

11月29日の振替公演でした。

キャストとスタッフのみなさまが万難を排して実現してくださったおかげで、観劇することができました。

どうもありがとうございます。

いっそう楽しく、貴重な時間に感じられました。

 

はじめての2日連続公演で、お疲れのことと思います。

どうかお体を大切に、ご無事をお祈りしています。

 

 

 

今回の席は、ほぼ最後列の中央でした。

 

ここまで後方だと、役者の力量がむきだしになって見えます。

やはり舞台には、「前席マジック」がありますから。

前のほうで見ると「なにがなんだかよくわからないけど生の迫力がすごくて感動してしまう!」という……

 

でもここまで後方だと、まやかしは一切、通用しません。

マジック皆無のクール席。

とても冷静に、客観的に見ることができます。

 

そういった意味でも、いつもとはちがう新鮮な気持ちで観劇にのぞみました。

 

あれですよ、ガンダムでいうと、「見せてもらおうか、下弦の月の実力とやらを」みたいな……

 

 

 

はい!

結論からいうと、実力、もの凄かったです。

熱もセリフも呼吸も汗も、まっすぐ飛んできてグサグサ刺さりました。

あんなに後方の席までも……

 

その演技力に震撼するとともに、やっぱりわたしは下弦が好き!という思いを新たにしました。

 

 

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【ここから先はネタバレを含みます】

 

 

後期をむかえて

 

 

下弦の天魔王は、なにげない瞬間であっても、ハッと目を引くような見せ場にしてしまう特異なキャラクターです。

 

好きなセリフや場がいくつかあるのですが、毎回、印象が違っていて驚きます。

そしてどんなに芝居が変わっていたとしても、毎回、裏切られることはないのです。

 

たとえば12月27日の感想に書いた、二幕、無界屋襲撃前の髑髏城。

とても印象に残ったシーンだったのですが、変わっていました。

 

前回はこちらです。 

 

今回は……

 

蘭「秀吉より先につぶさなければならない男がいる……来い」

 

天「ああ……なるほど……」

 

(扇は閉じたまま、顔を、すっと客席にむける)

 

天「おもしろい……(ここで初めて扇をひらいて小刻みにパタパタパタ…」

 

スクリーンが急ぎ閉じていく────

 

この違い……!(震撼)

 

(ちょっとマニアックでしょうかー?

 だいじょうぶですかー?

 わかってもらえますでしょうかー?)

 

 

後期をむかえた天魔王は、全体的に、「ぬらっと感」が減ったように思いました。

 

(前期では、年末に近づくにつれて「ぬらぬら」していきました。)

 

そして、どことなく陽気で、愉しそうなのです。

 

地図をつかってエゲレスについて説明する場で、特にそれを感じました。

 

自分の思いどおりに計画が進んでいてうれしくてしかたがない、といったご様子。

 

天蘭の殺陣で、天魔王が「そんな剣で……」「そんな覚悟で……」といいながら蘭兵衛を後退させていくところも大好きなのですが、印象が変わっていました。

 

まるで天は蘭をからかっているようで、なんだか愉しそうでした。

 

細かく芝居をつけていて、コミカルといってもいいような……

 

この路線を突きつめていったら別人になりそうな予感がします。

 

 

また、無界屋で服部半蔵の名が明かされるときも、「えっ!?」と目をむいて大きく反応しています。

 

あれは、下弦天魔が唯一からむギャグシーンだと思います。

 

(実は、わたしには髑髏城のギャグセンスがあまり合わないので、ほかのギャグシーンには天がからんでなくて本当によかったと思っているのですが……まあ、半蔵シーンくらいならだいじょうぶです💦)

 

 

邪悪なキス

 

 

二幕、天蘭決戦のクライマックスで、瀕死の蘭丸を背に、下弦天魔王が天高くキスを投げる場があります。

 

とても印象に残る見せ場のひとつになっていたのですが、その芝居が大きく変わりました。

 

「天にむかってキスを投げる」という点では同じなのですが、印象がまるでちがうので、意味合いもちがってくるのではないかと思います。

 

今回は、ものすごく邪悪な雰囲気だったので、あれを「キス」と呼んでいいのかどうか、さだかではないのですが……

 

興味深いシーンだということだけは確かなので、ぜひ見ていただきたいです。

 

(次回もあるかはわかりませんが……!)

 

比較するために、まず前期から書きます。

 

 

前期ヴァージョン

 

 

天魔王は陶酔したように、天にむかって激しくキスを投げました。

 

(舞台前方、中央で、「手のひら側」を唇につけて、それを真上にむかって大きくのばす)

 

信長がもっとも愛した蘭丸を使って成し遂げた、復讐劇の華麗なエンドにふさわしい演技でした。

 

ただ、あれをただの「投げキス」と軽く呼ぶにはなんだか凄すぎて……もっと深くて重いものがあるようで……

 

まるで魂ごと、憎悪も苦しみも、なにもかもを飛ばしているように見えました。

 

陶酔した中にも痛みがあったのです。

 

 

後期ヴァージョン

 

 

天魔王は、舞台前方、中央に立ち、はるか上空を見上げていました。

 

(最後列の客席よりもずっと上のほうを見ていました)

 

セリフのあとに、しばらく間があり、なにか思いをめぐらせているようにも見えました。

 

すると、おもむろに左手の「甲」を唇につけて接吻し、そのまま手を前にのばしていったのです。

 

何かをゆっくりと押しだすように……

 

そして、少し体をゆらして邪悪な笑みを浮かべたのです。

 

 

 

まるで、呪いのよう……

 

「呪い」は、時に、「恋」と同義ですが……

 

ちょっと、ただのキスには見えませんでした。

 

そもそも「手の甲での投げキス」を見たのは初めてなのですが、あれはいったい何なのでしょう?

 

たとえるなら、悪魔との契約で、悪魔の手の甲に接吻するシーン。

それに近い印象。

 

悪魔の手が、天魔王自身の手だったというわけです。

 

あるいは「ゴッドファーザー」でいえば、ドン・コルレオーネが「神よ……感謝します」と十字を切っているような……そんな雰囲気。

 

シチリア・マフィアとて神に祈るのです。

 

天魔王も、彼自身が信じる何かにむかって感謝したのかもしれません。

 

前期と後期で共通しているのは、「信長にたいする8年越しの復讐」という満願成就。

 

信長がもっとも愛した蘭丸を血祭りにして、復讐劇を完成させたという喜び。

 

あの瞬間、彼はすべての願いをかなえた気分だったのではないでしょうか。

 

それが、前期では、「ついに悲願を達成して、歓喜にむせび陶酔している」という印象でした。

 

ところが後期では、落ちついていて、自信ありげで、余裕すら感じられたのです。

 

「自分はすべてをコントロールしている」という自負が見えて、その分、黒い……

 

 

邪悪なキスでした。

 

 

 

 

 

 

 

白い曼殊沙華の野で

 

 

1幕のラストで、蘭兵衛の舞うような殺陣を見ているうちに、「え……これは……もしかして……かっこいい……といってもいいんじゃない?」と思いました。

 

よく考えてみたら、これまで髑髏城を見てきて、「蘭兵衛」というわけのわからないキャラを「かっこいい」と思ったこと自体、初めてでした。

シロクマ的にはエポックメイキングな廣瀬蘭兵衛。

 

蘭兵衛の殺陣は、もともと登場人物の中でいちばん美しく映えるように派手に付けてもらっているので、最初から有利ではあるのですが、それに甘んじることなく自分のものにされているとお見受けしました。

いくら振付が見事でも、踊りこなせずに終わってしまうことだってありますから。

 

(※天がでてくると天ばかり見てしまうので、一緒にいることが多い2幕の蘭の印象がどうしても薄くなってしまうのですが、次回は蘭もよく見ておこうと思いました💦)

 

 

蘭の死

 

 

廣瀬智紀さんは、死に顔がとてもいいのです。

いつも目を見開いたまま……かなり長いあいだそうしています。

 

今回は、倒れたときに、長い髪が薄いベールのように顔全体にかかりました。

黒髪ごしに、見開いた目が見えて、痛々しい。

 

捨之介がつらそうに近よって、蘭の髪を横に流して少しととのえてから、手のひらでそっと両目をとじてあげました。

「救えなかった……」という捨之介の後悔と虚脱感がひしひしと伝わってくる、良いシーンでした。

 

極楽太夫が嘆きながら、蘭の手から血を洗い流そうとするかのように、手のひらと甲を何度もさすってあげます。

何度も何度も……

そして最後は、その手を彼の胸元にそっとおいてあげるのです。

 

そんな彼女を見ていると、とても悲しくなってしまいます。

 

「君死にたまふことなかれ」を歌っておくりだした弟を、こんなかたちで失ってしまった姉の気持ちは、察するにあまりある。

 

わたしも、もし大切な弟が亡くなったら、きっと彼女のようになってしまうことでしょう……

 

胸にせまる名演技でした。

 

 

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ここまで読んでくださって、どうもありがとうございますʕ๑′ᴥ‵๑ʔ

 

近年は、おなじ演目に一回以上行くことはなかったので、「ちょっと行きすぎ……あるまじき」と思っていたのですが、天蘭の殺陣がはじまったあたりで「ああ、1月8日のチケットがあってよかった……!」と心から思いましたʕ ˃̣̣̥ᴥ˂̣̣̥ ʔ 

 

もしなかったら途方に暮れてしまっていたでしょう。

ローチケで夢遊病のようにクリックした過去の自分をほめてあげたいです。

 

 

それでは、またあしたʕ ❛ᴥ❛ʔฅ~~💓