宇宙シロクマ

Tuscan Blue's blog

髑髏城の七人 Season月 下弦の月 感想 11月27日(月)ソワレ 1回公演

 

書きたいことが140字世界からあふれてしまいブログにしました。

 

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【公演2日目】2017年11月27日(月)

 

 

劇団☆新感線 

作:中島かずき 演出:いのうえひでのり

捨之介     宮野真守

天魔王     鈴木拡樹 

無界屋蘭兵衛  廣瀬智紀

兵庫      木村了 

霧丸      松岡広大 

極楽太夫    羽野晶紀 

狸穴二郎衛門  千葉哲也

http://www.tbs.co.jp/stagearound/tsukidokuro/cast/kagen.html 

 

 

 

4時間があっというまに過ぎ去った。

それほど世界観に没頭できる熱い舞台。

下弦の住人たちと共に熱風のように駆けぬけた。

 

驚くべきなのは、わずか2公演目にしてこの状態に仕上がっているということ。

完成度が高い。

しかも決してこれが完成形ではなく、さらなる進化を見せるであろうことがうかがえる。

安定感があるばかりか、さらなる可能性まであるのだ。

 

熱量が大きい下弦の月は、これから先もめざましい進化をとげるだろう。

 

どこまで月が満ちていくのか楽しみでならない。 

 

 

 配役

 

ゲスト全員、板の上で見るのは初めてだったが、誰もがはまり役で見ごたえがあった。配役の妙。

役者の外見が役にあっているというだけでなく、役づくりに厚みがある。

それぞれが下弦の住人としての人生を生きてきて、今ここに立っているのだということが伝わった。

 

特に、捨之介・天魔王・蘭兵衛の三人は、まるで当て書きしたかのようにバランスが絶妙。 

 

 

捨之介 

 

宮野真守さんは太陽のようにはまっていた。舞台という宇宙の主役にふさわしいオーラがある。

舞台役者は顔が大きいと映えるが、彼の場合は背も高く全体的に大きくてプロポーションもいいので非常に舞台映えする。

立ち姿もきれいで、粋な着流しを着て生まれてきたかのように板についていた。

 

そして第一声から驚くほど声がいい。

声に表情があるので、役者の顔をよく見ることができない席の観客にも、こまやかな芝居をつたえることができるのだろう。

際立って滑舌がよくマイクの使い方が上手であることも、演技をさらに生かしている。

彼ならば大劇場の最後列まで物語を届けることができるはずだ。

 

 

天魔王

 

月髑髏をまだ見ていない方の中には、天魔王には大柄なタイプがあうのではないかと考えるむきもあるかもしれない。

捨之介と天魔王が一人二役だった作品の印象から私もそう思っていたのだが、今回は違った。

 

月髑髏の演出では、天魔王に巨漢はミスキャスト。

繊細で陰影のある役者こそふさわしいということが、クライマックスで判明する。

 

その瞬間、天魔王のすべてが理解できて愕然とするだろう。

 

鈴木拡樹さんはその稀有な演技力のみならず、あらゆる面において適役だった。

(くわしくは後半に書きます) 

 

天魔王の魂のふるえを体感できただけでも、『下弦の月』を見てよかったとつくづく思う。

 

 

蘭兵衛

 

月髑髏の蘭兵衛はなかなか難しい(後述しますが複雑なところのある)役柄なのだが、廣瀬智紀さんはうまく演じていたと思う。

姿のよい役者なら誰でもいいというような役ではないので、演技力と存在感が問われる。

  

【「天魔王と蘭兵衛の関係」は、後半に書きます。】

 

【ここから先はネタバレを含みます。】

 

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【一幕、冒頭からいきなり禍々しい空気をまとった「人の男」が出てきたので心の準備ができておらず、え?あれ誰?まさか鈴木拡樹さん?とあせりました。】

 

【私の席は霧雨にふれるほど前方だったのですが、なにぶん端だったので、間口が狭いセットのときは横顔しか見えず……】

 

【そして冒頭は、まさにこの狭いセットだったのでした……】

 

 

天魔王ダンス

 

月髑髏は躍動感あふれる群像劇だ。

それぞれの人物が今を懸命に生きていて、胸にせまる熱さがある。

 

その中でも、特に天魔王の存在が大きかった。

 

これはもちろん鈴木拡樹さんの演技が凄くて印象に残るということもあるのだが、そもそも天魔王の登場シーン自体が多く、想像していたよりもはるかに活躍する台本になっていたのだ。

 

あまりに存在感があるので、途中で、「あれ?もしかして下弦の主人公って天魔王なのかな?」と思う瞬間もあったほど。

 

なにしろ宣材などでは捨之介が大きくアピールされていて、あきらかに主役。

一方、天魔王は実にひかえめだったので、あまり登場しないものとばかり思っていたのだ。

 

それがなんと!

 

冒頭から!

 

人の男が天魔王になるシーンからはじまったのだ。

 

これは「天魔王」を見にきた私にとってはうれしい誤算だった。

望外のよろこび。 

しかし心の準備ができていないにもほどがある。

 

 

重心の低い天魔王ダンスは、和とロックの融合という趣。

禍々しくも外連味あふれる新感線らしいオープニングだった。

 

おそらくスクリーンでは派手な演出があったと思われるが、それはほぼ見えず……

 

それでも、天魔王となって狂喜乱舞する鎧の男は圧巻で、まばたきできないほどだった。

 

 

悪の華

 

実はやさしいところもあったり、情けを知る悪役も多い昨今だが、天魔王は悪の美学のみに生きている。

 

そこまでやらなくても……と思うほど、徹頭徹尾、悪。

 

どこか憎めないところもある髑髏党メンバーとは違い、唯一無二の悪役なのだ。

 

蘭兵衛とふたりで無界の里を壊滅させたことからも、それがよくわかる。

 

なにもわざわざトップが現場に出むいてやらなくても……と思うのだが、天魔王はみずから戦う。

なぜなら愉しいから。

 

 

鈴木拡樹さんの演技がまた壮絶で、殺すたびに顔に愉悦が浮かぶ。

殺戮を心の底から愉しんでいるのだ。

クールな表情で斬って捨てる蘭兵衛とは対照的。

 

ライトがあたっていないときでも、天魔王は暗闇から邪悪なオーラを立ちのぼらせていた。

 

たとえば蘭兵衛が極楽太夫と話しているとき、天魔王はやや離れた薄暗がりの下手に立っていたのだが、細かい演技のひとつひとつに凄味があった。

 

立ち位置は動かずとも、ほんのわずかな表情の変化で、目の色のゆらぎで、何を考えているのかが伝わってくるのだ。

 

ふたりの会話に、口の端をゆがめて冷笑を浮かべる天魔王。

 

『愚かなことを……』という心の声が聞こえた。

 

 

裏切りの蘭兵衛

 

(ここには、「なぜ蘭兵衛は大切な仲間を裏切って急に天魔王に寝返ったのか?」という疑問について書いていたのですが、 どうもよくわからないところがあって、納得できていませんでした)

 

(2回目の観劇後、やはりこれは違う…と思いましたので、別の記事で書くことにしますねʕ•ᴥ•ʔ💦)

 

 

信長

 

影の主人公は誰かといえば、それは「信長」の亡霊だろう。

 

「天のことは忘れろ

 織田のことは忘れろ

 お前は自由に生きろ

 そう、蘭丸に伝えろ」

 

そんな信長の遺言を伝えたときの天魔王はすさまじかった。

 

崇拝する信長が自分の理想に反する言葉を残したことが、絶対に認められないのだ。

 

認めたら死んでしまう。

 

理想のままでいてくれないのなら、いっそ殺してやると言わんばかりの激しい執着心……

 

信長の息の根を止めたのは、もしや「人の男」だったのではないかという疑いが一瞬よぎるほどだ。

 

 

一度も登場しないにもかかわらず物語を支配して、捨・天・蘭の三人にあれほど熱く語られる「信長」とはいったいどんな人物だったのか。

 

会ってみたくなった。

 

 

六天斬り 

 

引くほど巨悪な天魔王だが、そんな彼の涙をも受けとめてくれるのが捨之介だった。

月髑髏の捨之介の象徴が傘であるのもうなずける。

 

「おまえは雨雲」

「天の涙を受けとめるのが『地の男』の仕事だ」

 

と捨之介は言う。

包容力のある大地のような主人公だ。

すべての雨を、涙を、おおらかに受けとめてくれる大地。

そんな男だからこそ、天魔王を追いつめることができたのだろう。

 

(※のちのレポにも書きましたが、

真の勝者は、捨之介に一矢むくいて絶望の底に突き落とした天魔王だったのかもしれません……)

 

 

最後の対決、六天斬り。

 

天魔王の無敵の鎧が、捨之介の剣によって一枚一枚はがされていき、最後に生身の華奢な男がくずれ落ちる。

 

なんという悲哀……

 

胸をつかまれる瞬間だ。

 

巨悪の魔王とて無敵の鎧がなければ、ただの無力な人間にすぎないという現実を、まざまざと見せつけられたのだ。

 

威風堂々とした重厚な鎧は、この衝撃の結末を見せるための演出に必要だったのだと、観客が初めて知る瞬間だ。

 

弱くて愚かな人間が、分不相応な力を手にしたことで虚勢を張り、「天」にも手が届くと夢想する。

 

だがそれは、幻想にすぎないのだと……

 

 

 

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ここまで読んでくださって、どうもありがとうございましたʕ๑′ᴥ‵๑ʔ

 

長くなりすぎたので、つづきは、また次のページに書こうと思います。(←まだ書く気……ʕ;´ᴥ`ʔ?)

 

下弦の月、こんなに語ってしまうほどおもしろかったです!ʕ ❛ᴥ❛ʔฅ💓